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vol.02主観的教育に関して思うこと

シルバメソッド公認講師 ハリー・マックナイト

心の体験が次元の窓を開く

 主観的教育という言葉は、客観的教育といういろいろな点で異なる。これは、内的な意識レベルを意味し、うまく機能したり、千里眼を働かせたりすることに関わる法則を身につけることである。また、主観的教育では、いわゆるβ(ベータ)波、つまり、目を開けて生活をしている状態の中で行われる客観的教育が取りあげない、内的な意識レベルへの内省といった体験を取り上げて論じる。

 β波に支配されている時とちがって、α(アルファ)波の時には、私たちは現実の別の次元に感覚が開かれている。その状態だと、もっと容易に自分の心が体験していることに気づくことができるのである。現実が変化するのではない。私たちの脳波が変化することで、注意をむける焦点が変化し、異なる様々な現実の次元に目を向けることができるようになる。あなた次第で、より敏感に注意を向けられるのだ。主観的教育というのは、現実の様々な次元に目を向けることを学習することである。

内的体験の表現こそ創造の源泉

 芸術家は、こうした次元に自然に焦点を合わせることができる。芸術家は、様々な次元に目を向けられるように内なる土壌を耕し、能力を研ぎ、その道の専門家として自分を高めていくことができるようになる。教育とは、まさに土壌を耕すということなのである。教育によって、私たちは、自分の内側から学ぶ意欲を高め、心の目や耳や感情や内なる感覚が経験していることをそのまま正確に自分の経験として表現することができるようになる。芸術家たちは芸術作品を通して内的に経験していることを外の世界に向かって表現するが、彼等の中で体験されていることこそが創造的過程なのである。私たち人間は、生まれながらにして創造的な生き物である。自分の内なる体験に触れ、それを外界に向かって表現しながら生きようとしている。主観的教育という言葉ほど、こうした過程を描写するのに適切な用語はないであろう。

シルバ・メソッドの主観的体験

 主観的という用語を辞書で引くと、心の中で起こることというように出てくるが、実は、体験する人が認識している現実以上に、より現実的であるということを指す用語である。別の言い方をすれば、それは内なる現実と外なる現実の両方を指す用語である。内なる現実とは、それを体験している人に深く関わるもの


で、五感によって体験されている客観的現実とは必ずしも同じとは限らない。心理学や精神医学において主観的という用語は、心理学者や精神医学者が感じている現実世界そのものを必ずしも指すわけでなく、むしろ、妄想や異常に近いものと見なされるが、シルバにおいては、主観的という体験はα(アルファ)波やθ(シータ)波において体験される内なる感覚を指し、五感を使って客観的に体験されている現実とは異なる次元の現実体験をも含まれて意味するのである。
 おそらく、自分たちで脳波をα波に変えるエクササイズを極めることで(これは自分で訓練できる)、いつも体験している現実とは異なる次元や深さをもった世界を体験し、客観的な現実以上の現実を味わうことが可能となる。それにより、普段体験してることの意味を深く認識し、理解し、解釈することもできるようになるだろう。

主観的教育は心の振動にある

 科学者たちは、ニュートンの理論やアインシュタインの理論によって、エネルギーの様々な次元について理解を広げていった。私たちも、主観的・客観的といった言葉ではなく、新しい用語を用いて、科学の世界や私たちの世界をとらえ直していこうではないか。

 重要な用語の一つとして、バイブレーション(振動)という言葉が心に浮かんだ。私たち人間はどんな人もエネルギーを振動させて生きている。私たちは出会う人やものの周波数に自分のバイブレーション(振動)をあわせながら、生活し、働き、遊び、存在している。

 主観的教育というのは、要するに、内なる、あるいは外なる現実が持っている振動に自分たちを合わせるように自らを教育することである。私たちは心が振動を知覚するからものを感じることができる。私たちは様々な現実の次元に振動しながら生きている。いろいろな深さやレベルに心が開かれるようになれば、それだけ私たちは自分を成長させることが出来る。私たちは芸術的創造的であることによって、自分達が体験していることをより深く表現し、人に伝えることができる。そして、私たちは、神の心の奥底に存在するような、いわば絶対的現実といわれる現実でさえ体験することが出来るようになるだろう。

 現実と振動すること、これは大切なことである。

【ハリー・マックナイト氏プロフィール】
ハリー・マックナイト氏は、シルバメソッドの初めての常勤のインストラクターであった。彼は今でもシルバメソッドの大変優れたインストラクターであり、権威者でもある。(訳 清水榮一)
(2007年9月発行 VOL.32 シルバメソッドニュースレターより)